(離婚後)養育費、(別居中)婚姻費用の相場
※婚姻費用とは
夫婦には通常生活を送るにあたって必要な費用を分担する義務(生活保持義務)があり、旦那さんが出て行き別居状態であっても生活や子にかかる費用(婚姻費用)は請求することができます。
〇「(離婚後)養育費」「(別居中)婚姻費用」の相場
「離婚後の養育費」、「別居時に於ける婚姻費用」の目安は、2003年に「東京・大阪養育費等研究会」がまとめた「簡易迅速な養育費等の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案-」にある算定表を用いることが協議(夫婦の話し合い)でも調停(家庭裁判所)の場に於いても広く一般的に定着しています。
もちろん既に協議によって二人がお互いに納得し設定した金額があればその金額で問題はありません。対して家庭裁判所の審判で決められる場合ですと算定表以上の金額が認められることは殆どありません。
養育費・婚姻費用算定表は裁判所のホームページなどで簡単にご覧頂けます。
裁判所HP 東京家庭裁判所作成 養育費算定表
重複しますが、養育費の条件を夫婦間の協議で決める際は、算定表の月額はあくまで目安であることに重々ご注意下さい。
例えば算定表では、子どもが全て公立学校に進学することを前提として算出をしています。
そのため、私立へ進学すれば算定表の額だけは監護費用が充分でない可能性も予想されます。
離婚後には生活水準を下げることも止むを得ない場面はあるかも知れません、ですが現実の子どもにかかる監護費用をどこまでカバーできるかは慎重な話し合いがおのず必要となります。
〇「養育費」の受取を定める期間
家庭裁判所では、「基本的」に養育費の支払い終期は成人までと考え養育費の支払い終期が定めています。
ですがこれも協議により夫婦の間で合意ができれば個別のケース毎に変わってきます。
日本の法律上、両親には未成熟子に対しての扶養義務が記されています。
未成熟子とは「経済的に自立した生活をすることを期待できない状態にある子ども」であり正確には未成熟子=未成年(20歳未満)という訳ではありません。
実際に、高校を卒業後に就職することを前提に養育費の支払い終期を18歳の3月までとするご家庭もあれば、大学卒業を支払い終期とするご家庭もあります。更には成人後も病気や障害を理由に親からの扶養が必要な状態であると、未成熟子の範疇とするケースもありえます。
子どもが大学等へ進学するかどうか分からないので、まずは養育費の支払い終期を20歳までと決めておき、仮に大学等へ進学したときは養育費の支払い終期を延長すると取り決めておく方も多くいらっしゃいます。
離婚後の事情による条件の変更も可能とされています。
その中の比較的多くが経済的な理由であり、他にも「再婚」や子どもの「養子縁組」などの理由があります。
当然ではありますが一方的に養育費の条件を変更することはできず、父母間での話し合い、家庭裁判所の調停等の申し立てによって養育費の変更手続きを行なうことになります。
現在、全国の都道府県・市・福祉事務所設置町村には母子父子自立支援員が配置されており、養育費や家庭への相談、支援を行っています。
財団法人 山口県母子寡婦福祉連合会 | 山口市富田原町4-58 山口県母子・父子福祉センター内 |
083-923-2490 |
下関市役所所管課 | 下関市南部町1-1 下関市役所こども家庭課内 |
083-231-1358 |
その他
法テラス山口 | 山口市大手町9-11 山口県自治会館5F | 050-3383-5490 |
〇配偶者の身勝手な行動
困ってしまうケース1_「相手に婚姻費用を払う気がない。」
もちろん婚姻費用は自分から請求できます。しかし貴方がもしもお困りだとしたら「相手に払う気がなく、その話を避けている」状況ではないでしょうか。そもそも配偶者や子供たちのことを真剣に思いやれる人間・責任感のある人間であれば自分から生活費の話ぐらい振るでしょう。
それさえも気にしないという身勝手な相手に対しては「婚姻費用分担請求調停」を申し立て裁判所の力を借りることができます。
注意点すべきは婚姻費用分担請求調停が成立しても、受け取れるのは
別居した時からではなく請求した時からなのです。別居した時点に遡ってもらえると間違えがちですがそうではないので、こういった事態に陥ってしまったら一日も早く婚姻費用を請求する必要があります。
婚姻中には「児童手当」が支給されますが「出て行った夫の口座に児童手当が振り込まれてしまっている」ということも実際に起こり得るため、「婚姻費用分担請求」をしなくても離婚を求める内容証明郵便(または離婚調停中であることを証明する書類)を持って役所で手続きをすれば振込口座を変えることはできます。
困ってしまうケース2_「途中で養育費の支払いが滞った。」
「母子家庭調査」によると、継続して養育費が支払われているケースは僅か20%未満という現実があります。
万が一貴方がそういった困難な事態に陥っても乗り越えられるよう、しっかりと気構えをしておきましょう。
養育費が支払われなかった場合、基本的には5年の消滅時効が適用されます。
つまり過去5年分は遡って請求が可能で、それ以前に未払いだった養育費は請求することが難しくなるということです。
※支払う側が経済的にあきらかに困窮している・未払いの合計があまりにも高額の場合、改めて別の条件で請求することもあるようです。
ちなみに再三にわたる支払い要求に対して応答もなく支払いがなされなかった場合、勧告や督促といった方法を行った後で裁判所から強制執行命令を出してもらうことも可能です。
しかしそれには債務者の現住所、離婚時に作成した公正証書等が必要となります。債務者の現住所は探偵を使ったり後からでも調べることができるかも知れませんが、やはり公正証書等は離婚の際にしっかり作成して頂いておいた方が安全と言えます。(公正証書は日本全国にある公証役場で作成されます。)特に少し複雑な内容となる離婚契約を結ぶときは離婚問題に詳しい専門家の方に相談し話を進めていくのがベストかと思います。
〇そういった場面でも我々にも出来ること
弊社では弁護士事務所との伝手のないご相談者様に、県内お近くのその案件を取り扱う弁護士事務所などもアドバイスできます。とはいえ、弊社では職業柄多くの弁護士事務所等との面識はございますが、そのどちらとも仲介し謝礼を受け取るような形態はあえて一切とっておりません。ですので、あくまでご相談者様にとって差し出がましくならない様にご説明に留めるやり方を主体としておりますのでご安心ください。(どこの先生が実際どういった方でどういった案件に強いかなど、所在や電話番号など、また法テラス制度がどういったものかなどをご説明)
同時に、ご相談者様のご希望とあらばスムーズな日程調整のアポイントメントをとることから、弁護士事務所まで同行しお傍に控えて会話の内容を補足したりとそういったお手伝いも調査とは別のお客様フォローの一環と考え、どなたへも無償で実施しています。
同じ地域住民として人間として心の底から悩み困ってらっしゃる方に対し、お助けできることで力を出し惜しむようなことはしたくありませんし、プロの探偵として調査以外の部分でお金儲けをしようなどとは考えておりません。どうかリラックスし気軽に頼って頂ければ幸いです。
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